Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

中国における位置づけ

 中国のアニメ・CG制作の現場に携わるようになって、もう5年になりますが、認識を大きく改めなければならない状況にあると感じています。
 5年前は確かに日本から見たらレベルは低く、まだまだ足元にも及ばない印象でした。
 しかし近年は、先頭集団を走っていた日本が、後ろから来た中国勢に飲み込まれて、かろうじて先頭集団の後ろにつけている(或いは置いていかれて第二集団になっている)ような感覚にさせられます。
 入賞圏内にいなければ存在価値のない業界で、既に前を走っている中国勢がいること、それによって日本のコンテンツ業界に対する敬意や羨望が急速に薄れてきたこと、その認識が日本側に大きく欠けていること、これらにちょっとした焦りを感じています。
 もちろん、圧倒的に後ろからついてきている母数の方が多いのですが、そのような「勝てる相手」を見下すことで自分たちの体裁を保つような姿勢が、日本の業界人に少なからずあることが残念でなりません。
 ひと口に「中国」と言いますが、地域によって貨幣価値や商習慣は大きく異なり、中国人は多様な民族です。このため欧米的なドライなマネジメントとの相性がよく、日本的な「阿吽の呼吸」は通用しない前提で考える必要があります。
『日本的な感覚が通じない中国人を見下す』・・・この観点に居続ける限りは、発展性を期待することはできないのです。