何かに駆り立てられて、2001年の新年をニューヨークで迎えた。
東京→大阪→福岡を駆け抜けて、国内の「異文化」を目の当たりにしていた。
何気なくチャイナタウンからワールドトレードセンターを撮影したこの1枚が、この10年余りの自分の心象風景だったかもしれない。
ぼくはその時の日記に、こう書いていた。
リトルイタリー、チャイナタウンと、いわゆるニューヨークシティとの境界線は、切り立った崖のように異なる文化が隣り合わせで存在。
自然に出来た国境で、こうも極端な変化が生じることはあるまい。
何が正しい答なのかをこういった条件で導き出さなくてはならない、そんな局面が今後は増えてくるのだろう。楽しくて興奮してきた。
よもや数カ月後に、このビルに航空機が突っ込んで倒壊する事件が起こることなど知る由もなかった。お亡くなりになった多くの方々のご冥福をお祈りします。
こんな写真を撮ったことが何かの啓示だったのか、ロクに外国語もできないのに、この10年余り不思議と異文化の狭間で右往左往する役割が多かった。
ワールドトレードセンターを倒壊に導いた原因、それを生み出した人間同志の確執は、我々の身近で発生している問題と何ら変わらない次元だと実感できた。
外国人ともうまくやりながら、それなりに自分も進化してきたつもりだったが、その手応えと反比例するように「日本人ムラ」から孤立していく傾向には、ちょっぴり疲れてしまっている。
♪ 生まれたところや 皮膚や 目の色で
いったいこのぼくの 何が分かるというのだろう
ふと思いついて、久々に聴いたブルーハーツ。
ずっと昔から、そんなことは感じていたのだ。
今に始まったことでもなかった。
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