Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

青い空を、白い雲がかけてった

 遠い親戚の叔母ちゃんが床屋をやっていたので、田舎を出るまではいつも、そこで(安く)髪を切っていました。我が家には「小学○年生」以外にマンガがなかったので、そこで週刊・月刊マンガを読むのが楽しみでした。(先客がいて待ち時間が長くなると嬉しかった・・・)

 読みたい作品から片付けて、それでも待ち時間があると(妹が刈り終わるまでとか)残った作品を消去法で読んでいたのですが、当時、小学生だった自分が楽しみにしていたマンガではなかったけれど、今でも深く印象に残っているのが「青い空を、白い雲がかけてった」。

 他の作品にはない、叙情的な雰囲気がこの作品にはあって、コミカルなんだけど他のギャグマンガと異質なテンポで、小学生だった自分にとってそれは少し「大人の世界」でした。

 大人になった今、読み直してみたい作品だったのですが、ふと思いついて数カ月前に検索したら作者あすなひろし氏が既に故人であることを知りました。
 公式追悼サイトがあり、そこで作品集を通販していたので、取り寄せようかと思っていたら、この「あすなひろし原画展」の知らせ。
 
 ラスト30分で飛び込んで見てきました。

 まず、会場内に何故か[Fausto COPPI]があり、「あすな先生が乗っていたのか!?」と突進してしまったのですが・・・甥にあたる今中大介INTERMAXコーナーでツールドフランスに出場した実車を展示、ということでした・・・。
 
 で、・・・落ち着いて原稿を鑑賞。背景のアミがすごく細かくて(もちろん手描き)ため息。年代によって作風も変わるのですが、やっぱり好きなのは『青い空を、白い雲がかけてった』ですね。

 キャラがコミカルにデフォルメされて大きく崩れる展開ながら、ふとシリアスな目で遠くを見るんですよ。
 その先はもう、読み手の感性に委ねるような領域。
 それが小学生の自分の胸に引っかかったまま、未だに余韻となって残っているのです。これの正体、触れ幅の大きさを再確認させられました。

 会場に掲示された資料からは、Wikipediaにあるような ”私的なトラブルに伴い東京を離れ、実家のある東広島市に帰る。漫画よりも肉体労働に重点を置くようになり、晩年は非常に寡作になる”・・・このあたりの裏事情にも触れており、最近の身近な事象にも少しオーバーラップしていて考えさせられました。。。
 なんかでも(それも含めて)すごく良いタイミングで再会できた気がしています。

 それで!それで!検索したら、こんなサイト「あすなひろし傑作短編集」が見つかりました!おヒマな人はぜひ見てください。おススメは少年漫画1、2です。