Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

桜の木の下で

 早川さんのソロライブ。生で聴くのは久々になるかもしれない。前半はあまりライブで聴いたことのなかったレパートリーを何曲か、後半は最近コラボレーションしたアーチストから受けた影響でアレンジを変えたりと、少し変化をつけようとされていたけれど。
 今回は、この季節、この会場、この窓からの景色に尽きると思う。
 

 お馴染みの曲が奏でられる背景に、この桜ですよ。ほとんど風がなかったのですが、鳥でもいるのか、ときどき枝が動いて花びらが散ったりするのです。それが間奏のタイミングだったりすると、ピアノソロなのに違う音色が聞こえた気がしたりするわけです。こちらの勝手な妄想ですが。

 いつも映画を見ているような気になるけれど、今回はスライドショー。

 映像ではなく、写真を見ている感じ。曲によっては会場のあちこちから鼻をすする音が聞こえてきて、お隣のご夫人が頬を拭う様子から曲を聴きながら心の中でアルバムをめくっているのが伝わってきた。ヤベえよ、ヤベえよ、ヤベえよ、なんだよこの混じりっけない空気。純度が高すぎる。
 
 開場時、まだ明るかった外の景色が闇に包まれて、早川さん登場の頃にライトアップされた桜並木が窓の外に浮かび上がってくる舞台装置。やさぐれた心がすっかり洗い流されてしまった。
 
 
 枯れ葉を唄うボブ・ディランよりも、早川さんの方がイケてる大人だと思う。少なくとも、今の自分の中では。