Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

10年後、生き残る理系の条件

 竹内健さんの「10年後、生き残る理系の条件」を手許に置いて、付箋を貼ったところを開いて何度も読み返しています。
 今や自分が「理系」を名乗るのは憚られますが、経歴は雲泥の差でも同年代として非常に共感しました。過去の直感的なキャリアチェンジを生き方として肯定して頂けたような・・・いやいや、まだまだ結論を述べる段階ではなく、これから生き残っていくために改めて初心に戻らなければいけません。次の10年、その次の10年に向けて。
 そういった意味で、最近漠然と感じていたことにフィードバックを頂けて有難かったです。いま何をやれば良いか、どういった姿勢で働くべきか、多くの示唆が得られますので、全ての理系人材、技術職の方にお薦めします!!!

10年後、生き残る理系の条件

10年後、生き残る理系の条件

 各章のセクション毎に「生き残るエンジニアの条件」として、格言のようなコメントが21項目まとめられており、良いチェックリストになりそうです。このような意識の有無で長い人生は大きく変わると思うので、若い方ほど目を通された方が良いでしょう。(20代前半に似たような話をしてくれた恩師への感謝の念が湧いてきました・・・)

 全般的に前向きな内容の本ですが、その中でも現状に対する問題提起をしており、これから社会に出る若者ではなく何周目かを経て次の周回に入ろうという立場の者には、それが心に響きました。

 基礎の教育がおろそかのままで、「創造性を発揮して」「課題を解決し」「プレゼンしろ」と言われたら、デタラメを堂々と話す若者が量産されるのは必然です。最近問題になっているように、ネットで検索した情報をパワーポイントにコピペ、となってしまうのが必然かもしれません。
 問題なのは若い人というよりも、そうした人を育成しているシステムです。(P140)

 アナログからデジタルへの移行を経験した我々の世代と、デジタルネイティブに感覚の差があるのは当然ですが・・・概念的で実体のないデジタルの世界に、現実社会を合わせようとする考え方には「世代の差」を感じます。
 一方では、上の世代の方々も現役で頑張っていらっしゃるわけです。

「日本の半導体がダメなわけではなく( 〜 中略 〜 )やり方さえ変えれば勝機がある」
 という主張をしています。
 しかし、こうした話をすると、先輩方からお叱りを頂くことも多い。やり方を変えるというのは、意思決定を変えるということですから、今責任のある立場の方にとっては自分の立場が危うくなるということ。
 反発は時には感情的で、最後は「竹内は生意気だ」くらいで終わります。(P162)

 竹内さんは東芝のOBということで、最近のニュースに敏感に反応してTweetされているようですが、忸怩たる想いがあるのではないかとお察しします。

 失敗の原因を作った人が、若い現場の人をリストラする一方、自分は失敗の責任を取らずに担当事業を変えて組織の中に生き残り、意思決定者となるーーーーー。
 日本で研究を続けるのは無理ではないかと、絶望的な気分になるときもあります。(P165)

 これほどの経歴の方もご苦労されているのか、と励まされました。世代間の問題を普遍的な要素と捉えて、それも言い訳にせず乗り越えなければと改めて肝に命じた次第です。
 この本が薦める「逆張り」を実践してきた人生を客観的に自覚して、ちょっとアドバンテージを得た気分になれました。もはや逆張り逆張りで裏と表がなくなりつつありますが。足りなかった点を今後の課題に、また Connecting the Dots できるように頑張ろう!・・・そう考えると次の伸び代が明確になってきました。