Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

塔爾寺(タール寺)からの帰り道

 門前街の土産物をのぞいてみたが惹かれるものはなく、露天商から小さなタンカとマニ車のおもちゃを買った。しつこくつきまとう土産物屋の老婆を振り払い、バス乗り場らしきところまで出てみたが、バス停の表示がどこにもない。同じようにウロウロしている中国人の観光客もいた。
 たまに地元民が鈴なりに乗ったバスが通り過ぎるのだが、片道1時間あまりを掛けて市内に戻る雰囲気ではない。タクシーをつかまえようと思っても、夕刻になり新たに市内から観光客が来るような時間帯でもなくなっていた。飲み物を買いに入った近くの商店で尋ねると、確かに市内行きのバスが来るらしい。(店員の女性は外人客に慣れていないためか一言も言葉を発することなく、ただ質問に頷くだけだったが)
 選択肢がなかったので、次に通り掛かった満員のバスに他の中国人観光客の後について飛び乗ってみた。
 
 運転しながら料金を回収している運転手に、西寧市内まで行きたいことを伝えて料金を聞いたが、何を言っているのか聞き取れない。満員の車内で周りの中国人はひたすら無言で平行線のやり取りを聞いているだけ、誰の助け舟もなく脂汗が出てパニックになりかけた。
 ようやく料金が分かって(5.5RMB:安っ!)支払いを終え、そのまま運転席の隣に立ち続けたが、かろうじて座席のヘリに手を添えているだけ、急ブレーキなど踏まれたら周囲の乗客もろともフロントガラスに頭から突っ込むことになっただろう。バイパスの高速道路に乗ってから時速100キロを超えた時には別の脂汗が出てきた・・・。
 
 幸い命懸けのバス移動は何事もなく市内に到着できたが、オフシーズンとはいえ観光地のインフラとしていかがなものだろう・・・。

>西寧という都市