Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ

 今年の年始に読んだ本です。

 現代の脳科学者が、敬愛する17世紀の哲学者の旧宅を訪ねたり墓参りするエピソードから始まり、過去に直観で見出された哲学と、21世紀の脳科学の研究成果を関連付けて紹介していくわけですが、著者ダマシオ氏の愛が溢れすぎて大変なことに・・・(・ω・)

 脳科学の研究成果だけでも盛り沢山なのに、それと西洋哲学史を織り交ぜて解説されるので、自然科学と人文科学の知識がかなり求められます。(正直ついていけないところ多数あり)加えてスピノザがどのようにしてあの思想に至ったのか、著者の考察が時空を越えてファンタジックに炸裂するので話は膨らむ一方・・・。

 事前にスピノザ哲学の解説を何冊か読んでいたのと、ダマシオ氏の学説(ソマティック・マーカー仮説)の概要を認知科学の講座で聞いていたので、細かい説明を読み飛ばしても全体を理解できましたが、消化不良が多々あるので年月を掛けて繰り返し読んでいくことになりそうです。そろそろ理解できるかな?と挑戦したのですが、丁寧に読もうと思うといくら時間があっても足りません。

 終盤に、アインシュタインスピノザの神について語った記録を、ダマシオ氏の観点から論評するところがあるのですが、そこに辿り着いた幸運に感謝しました。哲学の歴史や神の存在の解釈から、脳科学に収まらない幸福論としてまとめてありますが、ぼくは人口知能などテクノロジー側からのアプローチよりも、こういった自然科学に断然ロマンを感じます。