Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

ウェブデザインとフロー理論

 かつて理由もなくトライアスロンのレースに出ることを趣味にしていたことがあります。
 その後、大企業のメーカーを辞めてデジタルコンテンツ業界のベンチャーに転身したことで「仕事がトライアスロン化」してしまい、練習量が激減してフェードアウトするような形で競技からは引退をしました。(チャンスがあればまた鍛え直したいと思ってはいるのですが。行動が伴いません・・・)

 仕事の中で得られる達成感がそれに変わるものとなったのは、自分にとっては喜ばしいことでしたが、マネジメントをする立場になってから、必ずしも全ての人が仕事にそういった感覚を求めているのではないということを学びました。
 一方で、人材育成の現場で顧客とはそれを共有できて、精神論と揶揄されながらも顧客のパフォーマンスを引き出すことに注力をして一定の成果を出し続けていましたが、「そういった感覚」が何なのかは定義できないままにいました。
 その職を辞してから「ゾーン」や「フロー」といった概念を知り、チクセントミハイの理論などは「まさにその通りだよなあ」と共感したわけですが、残念ながらこういった普遍的な法則というものはビジネスの現場では評価されにくいものなのです。

 スポーツの世界ではトップアスリートの多くがこの「フローな感覚」を肯定しているため、逆算で「フロー状態をつくることでパフォーマンスは高まる」といった効果が認められていますが、それを「ものづくりの職人」に置き換えた途端、単なる精神論として「理論的ではない扱い」にされてしまいがちです。

 ぼくは常々、コンテンツ業界はプロスポーツの世界と同じだと感じているので、ひとりでも多くの職人がワークフローの中で「フローな状態」になれる場づくりや環境構築をできないかと考えてきました。
 とりあえずはチクセントミハイの名前なんかを引っ張り出して、周囲から理解の質を変えていけないかとネットを彷徨ったりしていたところ、面白い記事を見つけました。

Optimizing Flow in Web Design
http://www.informit.com/articles/article.asp?p=98147&seqNum=1&rl=1

「ウェブデザインにおける流れの最適化」をチクセントミハイその人が登場して、フロー理論の応用で解説しているものです。

 英語力には自信がないですが、全体の構成(フロー理論をウェブデザイン論に応用しているロジック)がとても勉強になります。
 そして、改めて「頑張れば届くところにニンジンをぶら下げる」ことが何にでも応用可能なメソッド(笑)であり、それにはまず対象を正しく知ることが必須であることに想いを馳せたのでした。