Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

ドラッカーとPMBOK

 ドラッカーは好きで何年か前にかなり読んだが、彼は日本の製造業を研究して論文を書いていたので、違和感なくすんなり入ってきた。むしろ励まされたくらいなので「真摯であれ」という言葉は当たり前に受け止めて、深く考えたことはなかった。
 ただ、いろいろあって「真摯さ」の大切さを再認識したので、原文ではどういう単語なのだろう?とはじめて気になった。

 調べてみて驚いたのは「integrity=真摯さ」はドラッカー書籍ローカルの意訳であった。(wikipediaのintegrityに日本語ページは存在しない)

経営者の皆様、“インテグリティ”をお持ちですか? 〜訳しにくいが頻出キーワード。つまるところ人間性?〜(日経ビジネス)


 これでピンと来たのがプロジェクトマネジメントの教科書PMBOKのキモ「統合マネジメント」で、英語では Integration Management。
 PMBOKは欧米式のロジカルなナレッジマネジメントと思われがちだが、結局のところ肝となる「統合マネジメント」は方程式のないアート領域なので、最後は日本式な職人文化のKKD(経験、勘、度胸...w)に委ねられてしまう。

 なので「プロマネスキルは人間力」などと言われるが、ドラッカーも経営者として考え方や言動が「統合されている」状態が好ましいと考えていたのだろう。
 インテグリティがインテグレーションマネジメントにつながって、自分の中で大きなふたつの知識体系がインテグレーションされた今年の夏。


【追記】そうそう、この思索に辿り着いたのは、こちらの書籍がきっかけ。

CEOからDEOへ - 「デザインするリーダー」になる方法

CEOからDEOへ - 「デザインするリーダー」になる方法

  • 作者: マリア・ジュディース,クリストファー・アイアランド,坂東智子
  • 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
  • 発売日: 2014/09/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 読み進めながら、付箋を貼った何箇所かのうちのひとつがこの文章。

・善人を見つける
 インティグリティを大事にしない人たちからは遠ざかろう。多様な人たちとつきあうのはためになるが、インティグリティのない人たちとのつきあいは、あなたに受難願望があるか、あるいはあなたが矯正官でもない限り、意味がない。そのどちらでもないなら、新しい仕事仲間を見つけよう。

 これでインティグリティと辞書を引き、検索してみて上記の思索につながったわけだが・・・自分に受難願望があり、矯正官でありたいという願望もあることにも気づかされた。「プロマネスキルは人間力」みたいな価値観から、積極的に困難に向き合った方が得るものが大きいと考えてきたが、それを「受難願望」と言われてしまうとぐうの音も出ない。あえて難しい課題を選べば勝率は下がる。