ビル・クリントン政権で労働長官を努めた経済学者ロバート・ライシュの著書。
この世のどこかに「自由市場」という概念が存在しており、そこに政府が「介入する」のだ、という考え方ほど人々の判断力を鈍らせるものはない。(P3)
富裕層や大企業が多額の費用を使ってロビー活動や政治献金を行うことで、アメリカ社会は彼らに有利な政策になってきた・・・以前、映画館で観たドキュメンタリー『みんなのための資本論』とほぼ主張は同じだったので、労せず流し読み感覚で読了できました。
映像で解説してもらった方が圧倒的に効率良く頭に入ったので、人に薦めるとしたらそちらなのですが、この映画、いつまで経ってもDVD化されませんね。
『みんなのための資本論』公式サイト
今回の著作では、最後に具体的な解決策として「ベーシックインカム」にも触れられていますが、唐突且つ消化不良な印象を受けました。ライシュ先生の人柄は好きだし、現状に至るまでの解説も分かりやすくて良いのですが、どこか結論への道筋が釈然としません。これは前述の映画の感想も同様でした。
現状の資本主義の歪み(みたいなもの)をしっかりと認識させてもらえたことへの感謝はあるのですが、だからといって「真面目に働いても無駄」と被害者意識を煽るようなアプローチは個人的にあまり好きではありません。(ロバート・ライシュが直接的にそう煽っているわけではないので念のため)
何か政治的な革命が必要、と感じた米国社会がトランプ大統領を生んだと思いますが、社会制度の改革には長い時間も掛かれば大きな反動もあります。その成就を見届けるには人生はあまりにも短い・・・と感じるようになったのは残り時間が減ってきたからなのか自己矛盾も感じていますが・・・現在の「歪んだ資本主義」の荒波の中で「うまいことやって」個々人が幸せになれるように知恵を絞る努力こそが「一隅を照らす」ではないかと、自分の信念を自覚した次第です。
- 作者: ロバートライシュ,雨宮寛,今井章子
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/06/13
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