Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

早川義夫+梅津和時 Last Waltz by shiosai

 

 開演時間に遅れてしまって、客席に座れず後方のバーカウンターへ。ちょっとステージには遠くなるけれど、狭苦しくない方が自分にとっては有難い。盆とオリンピックが一緒にやって来てフラフラだったので、ビールを呑んだらすぐに酔いがまわってきた。
 
 なんかすごい。「スープが麺に絡み合う」とかいう表現があるけれど、早川さんのピアノと歌声に、梅津さんのサックスの音色が絡み合っている。ちぢれ麺に濃厚なスープがねっとりと絡んで、かなりしつこい感じ。

 梅津さんは目を閉じて、早川さんの歌にじっくりと耳を傾けながら自分の出番を待っているのだけれど、その姿は演奏者のそれではなく、まるで観客のひとりとして歌の世界を味わっているよう。

 お二人の共演を生で見るのは初めてだったが、CDで聞き込んだあの演奏がそのまま目の前で繰り広げられていた。「身体と歌だけの関係」はこれまで聞いた中で最高にエロかった。(ここで言うエロの定義は少し難しい。)

 早川さんは声が伸びていて、すごく調子が良さそうだった。途中、演奏を中断してやり直した曲もあったけれど、すごく自然体で聴いているこっちもすっかりリラックスしてしまった。

 バーカウンターに頬杖をついて、ゆらゆらと身を委ねながら、ステージを眺めていた。ああ、幸せだ!このまま永遠に聞いていたい!と思うほど至福な時間は短く、本当にあっという間に終わってしまった。
 
連日オリンピックの中継を見ているけれど、このステージが終わった時の感想もなんだかスポーツを見た後に近い印象だった。無駄な演出を削ぎ落とした音楽アスリート、『存在そのものが音楽なんだ』。
 
※『きれいな心の叫び♪梅津和時』さんは明日からEZOフェスで八代亜紀と共演だとか。頑張ってください!