Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

オリジナリティーとは何か

 以前は、川上量生さんのインタビュー記事など読んでも、言っていることが本当に理解できなかった。天才の考えることは自分の理解の範疇を超えていると感じたし、何となく価値観にも違和感があって賛同できなかった。
 最近は、自分のアタマが少し柔らかくなってきたのか、少しは理解できるようになったような気がする。

 そんな中で、この書籍はジブリで見習いプロデューサーをしながらクリエイティブについて分析・考察したもので、他のインタビューなどに比べると分かりやすかった。対象について、それを見る観点や捉え方は近いのかもしれない。良く言えば論理的、かなり理屈っぽくて、当たり前と思えることをわざわざ定義しているように感じた点も多かったが、割と共感しながらスラスラと読み進めた。そして、この本のポイント:

結論:オリジナリティーとは何か

  • 脳の中のヴィジョンを再現する能力が技術的に不足しているため、偶然に、なにか違うものができてしまう
  • 意図的にでたらめな要素をいれてコンテンツをつくる
  • パッチワーク的に自分がつくっていない要素をパーツとして利用する結果、自分がつくっていない要素が原因で、奇跡が生まれる
  • いままでの自分が知っているパターンを切り貼りして、新しいパターンをつくる

 ここに尽きると思う。この数行を述べるために、200ページ余りの前段が用意されているようなものだった。少なくとも自分にとっては。それでも、良いアタマの体操になった。
 過去に書いた「創造性とは何か」に対する明確な回答になった。