Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

NewYorkCity CountDown 4

 元日で、美術館やアトラクション、商店の多くが休み。
 中国では旧正月を祝うので、チャイナタウンはフル稼働のはずと、 これもインターネットで予習済。

 徒歩で五番街をSOHOまで南下。日差しが暖かい。
 
 途中、パーソンズ・スクール・オブ・デザインを見つけた。
 ニューヨークは地域によって街の雰囲気がガラリと変わるのだが、同じ地域の中では建物や看板の出し方に統一感があり、街として演出されている気がする。街づくりのコンセプトとかでもあるのか。
 
 リトルイタリーを抜けてチャイナタウンへ。
 
 レストランの前で「オーソーレミーヨー」と歌っていたり、通りの飾りつけが赤と緑と白のイタリアンカラーであるという以外、西洋文化だけに違和感もなく。イタリアとしての演出に若干の苦しさも見える。
 
 それに反して、問答無用のパワーを感じたのはチャイナタウン。
 通りを一本入ると、もうそこは完全な中国文化なのである。
 
 看板や貼り紙は全て漢字で、アメリカへの媚びが一切ない。
 天下のマクドナルドまでが譲歩させられ漢字の看板を出している。
 会話も中国語が飛び交い、英語を耳にすることはなかった。
 ここがニューヨークであることを疑ってしまう。
 
 リトルイタリー、チャイナタウンと、いわゆるニューヨークシティとの境界線は、切り立った崖のように異なる文化が隣り合わせで存在。
 自然に出来た国境で、こうも極端な変化が生じることはあるまい。
 何が正しい答なのかをこういった条件で導き出さなくてはならない、そんな局面が今後は増えてくるのだろう。楽しくて興奮してきた。
 
 ブルックリンビレッジを渡って来ようと、反対岸に地下鉄で移動。
 橋に向って駅から歩いたつもりが、どうやら反対方向だったらしい。
 ブルックリン側の地図は持っていなかったので、川にぶつかるまで 歩いた後、右へ右へと向う。方向的にはそれで合っているはず。
  
 この辺りは完全に住宅地で、マンハッタンとはまた異なる庶民的な 街並みがまたいい雰囲気なのである。道に迷って良かった。
 
 凍りついたハドソン川の向こう岸を見ると、あの超高層ビル群は、マンハッタンのごくごく一部でしかないことが良く分かる。
 小さく「自由の女神」も見ることが出来た。
 
 橋のたもとに辿りついた頃には、既に日も暮れかかっていた。
 二次元で見慣れたマンハッタンの夜景が、目の前に浮かんできた。
 
 前日、それらの足元を自分で歩いてきたのでタダのビルの集まりでしかないことは確かなのだが、確かにこうして見ると圧倒される。
 存在しない「何か」までを感じさせられる。これが憧れの正体か。
 
 橋を渡り終えた頃には、あたりはもう真っ暗になっていた。
 
 たもとにあるショッピングセンターで、生写真を数点買い求める。
 デジカメでは自分のイメージ通りには写せなかったりしたので。
 タイムズスクエアまで戻り、チェーン店のステーキハウスへ。
「うまい赤ワインが呑みたい」という願望がここ数日あったのだが、グラスワインをビールと共にセレクトしたところ、これが大当り。

「観光」という意味では、美術館など観たいものはまだ沢山ありはしたが、本来の目的の部分ではもうお腹いっぱいって感じであり。

 ふたつの満腹感と疲れと酔いで意識は朦朧としていた。至福。

 1年の計が元旦にあるならば、素敵な21世紀になることであろう。