早速「鉄コン筋クリート」を見てきました。
期待した以上のクオリティーで、後半のクロの精神世界を表現したところなどは圧巻でした。
豪華な声優のキャスティングは、きっと話題づくりだろう、と半信半疑だったのですが、これも実に素晴らしく、特にシロ、蒼井優は本人の演技をまともに見たことがないですが、すごく良かったです。ただ可愛いだけの子じゃなかったのね。
鉄コンと言えば、文化庁メディア芸術祭でパイロット版が賞を獲った時のことをよく覚えています。
ぼくは当時まだデジハリのスタッフで、歴代受賞者展の立体映像制作でCG−ARTS協会のお手伝いをした年だったこともあり、展示会場にも頻繁に出入りしていました。5年くらい前でしょうか。
デジハリでCGアニメーションのコース開発をしていた頃、一度だけ「Houdini」というマニアックな(笑)ソフトで半年コースを開講したことがありました。
当時はNKエクサさん始め、たくさんのHoudiniユーザーの方々にお世話になりました。
そんな中で「よんどしい」スタッフの方々からも絶大なご協力を頂いたので、鉄コンのパイロット版は注目して拝見しました。
正直なところ、技術的には新しいのかもしれないけど、非常に難解な印象を受けて、一般大衆にウケる感じの作品じゃないかもなあ、と感じたことを覚えています。
パンフレットによれば、
諸々の事情が重なり、3DCG版「鉄コン筋クリート」の企画は消滅してしまう。
その後、この作品のアニメ化を諦め切れなかったマイケルアリアスは「アニマトリックス」のプロデュースで日米を行ったり来たりしながら、シナリオを起こしてプレゼンを続けるなど、地道な活動を続けていたそうです。
可能性をほとんど絶たれてしまった彼は、田中プロデューサーのもとへ相談に向かう。そこで彼女は、ひとつの解決策を提示した。「マイクが監督すればいい」と。「鉄コン」の魅力を熟知し、それを他人にアピールする力があり、誰よりも作りたいという意欲を持つ人物は、彼をおいて他にいなかった。
つまり、ひとりの「執念」とも言うべき「熱意」が周囲の状況を動かさなければ、この作品は陽の目を見ることはなかったわけです。
本編の素晴らしさはもとより、メイキングのバックストーリーに心を打たれてしまいました。是非パンフレットをお買い求めください(笑)。
※恥さらしでこのままにしておきますが、メディア芸術祭で見たのは「ハッスルとき玉くん」で制作はトリロジーさんでした・・・すごい思い込み。