Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

クレーム対応マニュアル(領土問題に応用)

 過去に顧客の大きな期待に応えなければならない教育現場にいたことから、在職中に100件を越えるクレーム対応を経験しました。(記憶にある限り、自分で解決できなかったのは精神疾患を抱えていたと思われる1名のみで、多くの場合は逆に信頼を深めて良好な関係に発展することができました)
 また、中国でも大きな事件が起きて、約50名の中国人顧客に囲まれて罵声を浴びた経験がありますが、結果的に全員に理解してもらえて沈静化することができました。(中にはチンピラっぽい青年もいたので、どうなることかと思いましたが・・・最終的には日本人と全く同じロジックで解決できました。これは本当に有意義で貴重な経験でした)

クレーム対応マニュアル
1.事実について、客観的な観点から時系列で整理する。(この段階では、恣意的な情報の操作をしないことが大切)
2.顧客の立場から、なぜ不満を抱いているかを理解する。
3.顧客の不満を解消する。
(1)ミスや過失が存在していた場合は率直に認め、心から詫びた上で弁償や代償などを提案する。顧客が新たなメリットを感じられるような建設的な方向性の合意を得る努力をする。
(2)事実と無関係な要求については、合理性について妥協せずに指摘して譲歩しないことで、ゴネ得の可能性がないことを示す。

 さて、何故このエントリーをいま書こうと思ったかというと、最近の日韓・日中の領土問題への対応にチグハグさを感じているからです。
A:客観的な事実に基づく論理的な議論
B:主観的な被害感情に対する情緒的な配慮
 この双方で手を打つことが紛争の解決には必要で、相手に勝つことではなく、両者が拳を納める落とし処を探る交渉をしなければならないはずなのですが・・・そういったバランス感覚が欠如しているようにしか感じられません。
(領土問題で言えば、A:国際法に則った主張、B:歴史認識の違いを踏まえた交渉、ということになります)
 右翼がAの強行路線を吼え、左翼がBの自虐的な意見表明をするといった国内における足並みの乱れとは別次元で、政府関係者がきちんと役割分担して、双方のアプローチを進めるべきです。
 国際法に基づく主張は正々堂々と行えば良いわけですが、これまで行ってきたODAなどの貢献をアピールすることもなく、ただただ反日感情を煽るだけの現状は、見ていてハラハラさせられます。
 政治的な主張はありませんが、国家の経営を考えた場合、取引先とのトラブルをうまく解決できない経営陣では、従業員からの支持を得られないのは当然のことでしょう。