Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

中国人との信頼関係

 尖閣諸島を巡る領土問題で、中国に駐在している日本人の安全が憂慮されています。
 国家間の論評はプロにお任せするとして・・・。
 日本と中国の混合チームで仕事をしていく観点からは、今回の騒動など「ピンチは常にチャンス」だと思います。(思うしかありません!)
 こういった危機を乗り越えることで現地スタッフとの信頼関係が深まり、連携が強化されていく側面があります。
 表面的には反日デモですが、国内政治や社会問題が背景にあることは周知の事実で、日系企業で働いている中国人は高学歴で留学経験のある人も多く、その多面性を理解できないはずがありません。
 彼らに生活のサポートや当面の渉外的な業務をお願いすれば、リスクから距離を置いて日常業務を続けることは可能です。
 こういったルーチン業務を離れた、知恵や勇気?を試される問題への対処は、人間同士でお互いの考え方への理解が深まり、困った時に誰が頼りになるのか(誰が頼りにならないか)如実に明らかになるものです。
 逆に日本人も、中国人の従業員からは同様の目で見られます。
 マネージャー層にある日本人が、「日本人vs中国人」の構図に陥って自ら距離を取ろうとしたり、現地の状況と無関係に届く上層部からの指示に盲目的に従ったりすることは、現地で一緒に働いている中国人の従業員に誤ったメッセージを送ることになります。
 中国ビジネスの成否は、信頼できるパートナーの有無だとよく言われますが、困難が過ぎ去った後にチーム内に残るものが信頼関係か不信感か・・・それは事業の命運を左右します。
 直接的な暴動の被害に遭ってしまった企業にはお気の毒ですが、在宅指示が出たからと出勤しなかった、危険だからと帰国した日本人が、中国人の部下からどう見られたか、それが今後の組織運営に影響する気がしてなりません。
 もちろん、命の危険を冒してまで会社を守る必要があるか、という局面になれば話は別ですが、会社に行こうとする日本人マネージャーを中国人の部下が必死で止めた、といった話も聞こえてきます。
 半分パフォーマンスだとしても、中国人の支持を得ることに日頃から神経を砕いていれば「破壊活動に従業員が参加していた」などという笑えない話は起きないはずなのです。