Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

問われるのは智恵と勇気

 領土問題に起因した中国における反日デモ、その実態とマスコミ報道の醸し出す「雰囲気」のギャップには大きな違和感がありました。機会があれば自分の見解は述べてきたのですが・・・最近は「雰囲気」の中である種のあきらめを感じて、積極的に情報発信する意欲を失っています。
 情報共有とそれによる理解によって、距離感は縮められるものと信じていますが、それ以前にその人の持つ思想信条、それによるメンタルブロックの前では、同じ真実でも見え方が変わってしまう・・・そんな当たり前の事象を再認識させられます。
 このことからも、同じ目標に向かって課題に取り組むチームで、はじめの目線合わせがいかに重要であるかを説明できるのですが、その対象範囲が「広い社会」になってしまった時には、多様な価値観の存在を見守ることしかできない気がしています。
 サッカーの岡田武史監督が、昨今の日本に感じられるナショナリズムに対して、連載記事の中で問題提起している内容にシビレました。

 私は今、日本人、中国人、韓国人の混成チームを率い、チーム一丸となって戦っている。サッカーという一つの枠の中でなら、文化も価値観も乗り越えることができる。そう信じてチームを率いているつもりだ。スポーツでできることが国単位ではむつかしいのだろうか?

 単なるサッカーのコーチが、こんなことを言うのはおこがましいことだろう。限られた世界しか見ていない間違った感想かもしれないし、こんなこと言ってなにの得にもならない。おとなしくしている方が賢明だろう。でも、自分の見たこと感じたことを一度話してみようと思った。自分で見て感じたことを大切にしたい。皆さん、そう思いませんか。
岡田武史の「中国細見」文明の衝突、問われるのは智恵と勇気

 以前にもまとめたことがありましたが、岡田監督の言動には深い共感、尊敬の念を覚えます。サッカーは語れるほど詳しくないので戦術などの評価は分かりませんが、ものごとに取り組む姿勢や観点が非常に魅力的なのです。ひとりの人物として、尊敬しています。

中国人から喝采を浴びる岡田武史元日本代表監督の中国プロサッカー改革[橘玲の世界投資見聞録]

<異国での1年を振り返る> 岡田武史 「いま中国を離れる事は私にはできない」

<日本人監督の海外挑戦> 岡田武史が中国で見る夢

 分かり合える人と分かり合えればいい、それしかできないのではないか・・・消極的かもしれませんが、そんな観点から改めて周囲の景色を見つめ直しています。決して悲観的に考えている訳ではなく、そこから明るい希望が見出せるものと感じています。