Réalisation ॐ

永遠の相のもとに 〜 Sub specie aeternitatis 〜

在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由

 昨年9月の尖閣諸島国有化に起因した反日デモ
 日本で報道を見て驚き、現地からの連絡には違和感を覚え、微博(Weibo)を見て安堵する・・・そんな日々を送りながら、当時抱いた無力感は今でも忘れることができません。
 すぐにでも、現場に飛んでいきたかったです。
 中国に住んでいたり、中国関連のビジネスに取り組んでいる知り合いは多くいたものの、善後策に関する見解は必ずしも一致するものではありませんでした。
 置かれている立場や環境の違いはもちろんのこと、そもそもの仕事観や対人関係のスタンスの違いを浮き彫りにさせられる、何か踏み絵でも踏まされたような出来事だったと思います。

 反日デモからちょうど1年、こんな本が出版されました。

 寄せられた手記は雑多な印象で、全員が共通のテーマに添って見解を述べたものではないのですが、そこから伝わってくる「ありのまま」の情報には違和感が全くありません。
 この時期に発行するために奔走された、プロジェクトチームの3カ月の様子を綴った「あとがき」にも心を打たれます。
 もしかすると中国でのビジネスは、諸外国よりも難しい面が多いのかもしれませんが、だからこそ報道とは違った観点から、多面的な当事者の声を知ることが有意義であると改めて感じました。

 国や会社組織という「枠組み」による経済活動で生計を営みながらも、日々の業務や生活は「人と人」「私とあなた」の信頼関係で成り立つものです。
 枠組みが揺らぐような事件が起きた時には、そんな周囲との信頼関係の有無が体験をかけがえのないものにしたり、二度と振り返りたくもない苦いものへと極端に作用してしまうのでしょう。
 それは恐らく、日本と中国に限った話ではなく、他の諸外国であっても同様ではないでしょうか。

在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由

在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由